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シソは植えてはいけない?シソを育てるリスクとは?安全な栽培方法で美味しい葉を

シソの栽培には意外な落とし穴があることをご存じでしょうか。
一部では「庭に植えるべきではない」とも言われていますが、その理由とは何なのでしょうか。

シソはその独特な香りと色彩で、日本の食卓を彩るハーブとして長年愛されてきました。
手軽に育てられる上に、害虫に強いという利点もあり、家庭菜園には欠かせない存在です。
食用としては、葉はもちろん、花穂も利用でき、ジュースやお茶にしても美味しくいただけます。

この記事では、シソを庭に植える際の注意点と、上手な育て方のコツをご紹介します。

シソを庭や家庭菜園に植えるべきではない2つの理由

一般的に「シソは庭や家庭菜園で育ててはいけない」と言われる理由は、以下の2つです。

1 こぼれ種による大量繁殖
2 ハスモンヨトウの発生

それぞれの詳細な理由について確認してみましょう。

①「こぼれ種による大量繁殖」

シソは繁殖力が非常に強く、庭に直接植えることは避けるべきです。
栽培するとたくさんの種ができ、こぼれ種でどんどん増えてしまいます。
落ちた種は次の年に勝手に芽を出して勝手に育ちます。
少量なら喜ばしいことですが、庭中に広がってしまうと厄介です。
一度植えると抜いても抜いても生えてくるので、庭がシソだらけになる恐れがあります。

シソは地植えすると増えすぎてしまうため、「植えてはいけない」と言われるのです。
管理が簡単で水やり不要なため、他の植物のスペースを奪ってしまうこともあります。

プランター栽培なら、シソの成長をコントロールしやすく、他の植物とのバランスを保ちながら、庭の美しさを維持することが可能です。

シソの繁殖力は圧倒的ですが、適切な管理と工夫で、庭を美しく保ちながら、シソの恩恵を受けることができます。
水やりの手間も省け、手軽にハーブを楽しむことができます。

②「ヨトウムシの発生」

シソの手入れは、虫が苦手な方にとっては少々大変かもしれませんが、適切な対策を講じることで、健康なシソを育てることができます。

シソの葉は柔らかく、香りも良いため、料理にもよく使われます。
しかし、その魅力が害虫を引き寄せる原因ともなっているので、シソを植える際には、これらの点を考慮することが大切です。

特に、ヨトウムシはシソの葉を好んで食べます。
シソの強い香りはイモムシやナメクジを寄せ付けませんが、ヨトウムシは別です。
ヨトウガ(夜盗蛾)は、チョウ目ヤガ科ヨトウ亜科の昆虫でその幼虫がヨトウムシです。

ヨトウムシは非常に多くの種類の植物を食べます。
イネ科以外のほとんどの植物を食べます。
日中は土の中や植物の根元近くに隠れていて、夜になると地表に出てきて植物を食べることから、ヨトウムシ(夜盗虫)の名前が付けられました。

ヨトウムシは夜に活動し、シソの葉を食べ尽くしてしまうことがあります。
特に梅雨時期は湿度が高くなり、ヨトウムシが発生しやすいので、早めに駆除する必要があります。

また、ヨトウムシは白菜やキャベツなどにも被害を与えるため、シソの周辺に植えると被害が広がります。
他にも、シソはアブラムシやバッタ、ハダニ、ハモグリバエなどの害虫も引き寄せる可能性があります。

赤シソと青シソ

赤シソと青シソは一緒に植えてはいけない

赤シソと青シソは同じ場所に植えると、交雑してしまい、雑種ができる可能性があります。
この雑種は香りや色が劣化するだけでなく、繁殖力も増してしまうため、手入れが難しくなります。
質の高いシソを育てるためには、赤シソと青シソを別々の場所に植えることが重要です。
また、青シソと赤シソを同時に植えると、苦み成分が増えてしまうこともあります。
交雑を避け、それぞれの特性を活かすために、植え方には注意が必要です。

交雑したシソの特徴

  • 香りが薄くなる
  • 葉の色が赤と緑が混ざったような色になる
  • 繁殖力や生命力が強くなる
  • 元のシソに戻ることはありません

ただし、一年間だけであれば問題ありません!
赤ジソと青ジソを一年間だけ育てる予定であれば、一緒に植えても大丈夫です。
次の年に交配したジソが生えてきても、摘み取ればそれで対処できます。

シソについて

夏から秋にかけて栽培されるシソは、芳香性の一年草で、中国原産のシソ科シソ属の植物です。
様々な品種があり、世界中で広く栽培されています。
青ジソは葉を摘みながら育てるのに対し、赤ジソは収穫時に株ごと抜き取られます。

赤シソと青シソ

料理での彩りとしても、健康に対する効能としても、シソは日本の食文化に欠かせない存在です。
特に赤シソと青シソは、見た目の美しさだけでなく、その用途の多様性で知られています。

赤シソはその名の通り、鮮やかな赤紫色をしており、この色合いはアントシアニンという色素によるものです。
この色素は、梅干しや柴漬けなどの伝統的な日本の漬物を美しく彩るだけでなく、シソジュースなどの飲料にも利用されています。
一方で、青シソは緑色がかった青みを帯びており、その爽やかな香りは和食や中華料理の薬味として、また天ぷらのアクセントとしても愛されています。

赤シソの苦味と青シソの清涼感は、それぞれが持つ独特の味わいであり、料理に深みとバリエーションを加えてくれます。
赤シソは色鮮やかなお寿司やデザートに、青シソはさっぱりとした風味を求める料理に最適です。

シソの育て方のコツ

シソは、プランターでの栽培がおすすめです。
プランターを使うと、生育スペースが限られているため、株が大きくなりすぎず、また種が飛んで広がることも防げます。

量的には1株だけ育てるだけで家族3〜4人で十分な量を収穫できます。
シソをたくさん使う家庭は2株あれば安心です。

また、新しい種を使って育てることをおすすめします。
毎年こぼれ種を頼りたい気持ちはわかりますが、こぼれ種では質が落ちてしまいます。
ホームセンターで200〜300円、100円ショップで110円程度で新しい種を購入することが理想的です。

シソの葉の育て方とプランター栽培の手順

シソの葉を育てるのは初心者でも楽しくできる作業です。
以下に、プランターでの栽培に焦点を当てた詳細な手順を紹介します。

苗の選び方
ホームセンターや園芸店で、節間(せつかん:茎についている葉と葉の間隔)が詰まっていて健康的な苗を選びましょう。
色は濃い緑色で、葉や茎が元気なものが良いです。
シソは種から育てることも可能ですが、温度管理が難しいため、苗から始める方が簡単です。
摘芯(枝の先端の芽を摘み取ること)することでわき芽が次々と成長するため、2〜3株あれば十分に育てられます。

プランターの選定
深さ15cm以上のプランターを用意し、鉢底に石や砂利を敷き詰めて水はけを良くします。
シソは肥料を好むため、植え付け時に肥料が含まれている土を使用すると良いでしょう。
野菜用の培養土は、すでにバランスよく肥料が配合されているため、プランター栽培におすすめです。

種をまく・苗を植える
種を蒔く場合は、プランターの土にくぼみを作り、5mmほど土をかけて覆います。種まきは4〜6月が適しています。

苗を植える場合は、根元がしっかり土に埋まるようにします。
プランターの土に穴を開けて、ポリポットから取り出した苗を植えます。
苗同士の間隔は約20cm程度あけるようにしましょう。
植えた後は土を平らに整えます。
植え付け直後は風通しの良い日向に置き、底から水が溢れるまでたっぷりと水を与えます。
その後は半日陰に移しても問題なく育ちます。
水やりは土が乾いてきた時に十分に行うようにしましょう。

間引き
本葉が2枚展開し始めたら、適度に間引きを行いましょう。
間引きをすることで株同士の競争を減らし、健康な成長を促します。

剪定(摘心)
草丈が30cmほどになったら、主枝の先端を園芸用ハサミで切り取りましょう。
この作業により株の栄養の循環が良くなり、葉の数が増えて収穫量が増します。
また、株の先端を摘心することで横への成長を促進させます。

追肥
植え付けから約2週間後、本葉が7~8枚になったら、10gほどの化成肥料をまき、軽く根元に土を寄せて混ぜ込みます。
以降、1週間に1回程度の頻度で追肥を行います。

水やり
土の表面が乾いたらたっぷり水を与えます。
特に真夏は朝か夕方に水を与えるのが良いです。
美味しい大葉を収穫するためには、水切れしないようにたっぷりと水を与えることが大切です。
乾燥で硬くなった葉は、その後水を与えても柔らかくならないため、土の表面が乾きかけたらたくさん水をあげましょう。
梅雨が過ぎたら、敷き藁や腐葉土で地表を覆い、夏の乾燥を防ぐことも効果的です。
また、夏の暑い時期は乾燥しやすいので、葉の表裏にしっかりと水をかけて害虫を防ぎましょう。
ただし、ホースで勢いよく水をかけるのは避け、ジョウロなどで優しく水を注ぎます。
水やりは土の状態を見ながら行い、過湿や乾燥に気をつけます。

害虫の対処方法
梅雨が明けると、葉が乾燥して虫がつきやすくなるので、定期的な水やりが重要です。
特に、葉の裏側にも霧吹きで水をかけると効果的です。
また、苗を植え付けた後に防虫ネットを使用すれば、虫の侵入を防げます。
黒い斑点のアブラムシやハダニ、白い斑点のアザミウマなどがつきやすいので、見つけたら取り除きます。
殺虫剤は使わずに、水を勢いよくかけて吹き飛ばすか、葉を摘み取るのがおすすめです。
収穫した葉をそのまま食べるため、殺虫剤を使用した場合は2~3週間収穫を控えましょう。

収穫
大葉は、芽の段階では「芽シソ」、葉は「葉シソ」、花穂は「穂シソ」、果実は「実シソ」として食べられます。
それぞれの収穫タイミングや方法を確認しておきましょう。

芽シソは発芽後、本葉が2枚ほどつくまでに収穫できます。
発芽後に間引いたものを芽シソとして楽しむのがおすすめです。
葉シソは主茎に10枚程度の葉がつき、草丈が30cmほどになった頃から収穫できます。
植え付けから約1カ月が目安です。
下の葉から順番に収穫し、茎の先端の葉を摘むと脇芽が伸び、再び収穫できるようになります。
穂シソは開花後に収穫でき、夏の葉シソの収穫ピークが過ぎて秋が近づくと花をつけ始めます。
花穂が伸び、半分ほど開花したら収穫しましょう。
実シソは花が咲き終わって実ができた後に収穫します。
花穂を全て収穫せずに残しておき、実シソの成長を待ちます。

芽シソ、葉シソ、穂シソは手で簡単に摘み取れますが、ハサミを使っても構いません。
カットする際は清潔なハサミを使用しましょう。
葉シソの香りを楽しむためには、あまり手で触らないように注意します。
実シソは穂ごと切り取り、穂についた実をしごき落としてお好みの方法で味わいましょう。

青じその香りを楽しむために、葉の裏側にある香りの源「腺鱗」に触れないようにしましょう。
収穫する際は葉柄(葉の根元)を持ち、洗う時もこすらずに軽く振り洗いしてから料理に使用します。

赤じそは、梅干しの漬け込みやしそジュースなどで大量の葉を使用するため、株ごと抜き取って収穫します。

花穂の処理
9月頃には花穂が出てきますが、株の勢いを保つために必要な分だけ残し、余分な花穂は摘み取ります。
種をつけさせないことで株のエネルギーを葉に集中させ、長く収穫できるようにします。

シソの葉は手軽に栽培できるので、ぜひ試してみてください。
丁寧な管理と手入れで、美味しいシソの葉を収穫できるでしょう。

まとめ

シソは繁殖力が強いため、庭中に広がってしまうことまど庭に植える際は注意が必要です。
地植えではなく、プランターなどで管理することで繁殖を抑えることができます。
また、害虫対策もしっかり行いましょう。
これらのポイントを抑えて、美味しいシソを育てて楽しみましょう。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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