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「高温多湿を避けて常温で保存してください」とは具体的にどの温度や湿度を指しているのでしょうか?

食品のラベルや表示に、「高温多湿を避けて常温で」と書かれているのをよく見かけますが、高温多湿とは具体的に何度以上で湿度が何%以上を指すのか明確に示されていないことが多いです。
これらの言葉が具体的に何度を意味しているのか、季節によって変わることも考慮して、具体的な温度について考えたことはありますか?
高温多湿がどのような条件を指しているのか、高温多湿を避けるための保管場所について、そして「常温保存」と記載された食品を冷蔵庫に入れることについて詳しく調べてみました。ぜひ参考にしてください。

高温多湿の読み方

「高温」は高い温度のことで「こうおん」と読みます。
そして、「多湿」は湿気が多いこと、湿度が高いことで「たしつ」と読みます。

「高温多湿」はの読み方は「こうおんたしつ」です。

高温多湿とは?

気温が特に高い状態を「高温」と呼び、多くの場合夏季に見られます。
一方で「多湿」とは、空気中に含まれる水蒸気の量が多く、湿度が高い状態を表します。
湿度は通常、相対湿度で表されます。
これは、現在の水蒸気量が空気が持てる最大水蒸気量に対してどの程度の割合かを示したものです。

気温が高く、湿度も高い状態を「高温多湿」と呼びます。

具体的には、気温が25度以上で、湿度が70%以上の環境のことを指します。
このような状態では、単に暑いだけでなく、じめじめした不快感も伴い、人が感じる不快指数が高くなる基準とされています。
人の体感にも直接影響を及ぼすため、生活上の注意が必要だと言えるでしょう。

常温とは?

まず、常温とは、文字通り温度が一定であることを意味します。
一般的には、夏場の外気温に近い温度や、直射日光が当たらない涼しい場所を指します。

常温の基準

常温の基準は分野によって異なります。
例えば、薬の保管には「15℃〜25℃」が常温とされ、室内の湿度は「1%〜30%」と定義されています。
つまり、医薬品は25℃までが常温で、これを超えると高温になります。

食品に関しては、常温保存が可能なものとして「パン」「乾麺」「缶詰」などがあります。
逆に、高温を避ける必要がある食品には「野菜」「卵」「加工製品」「生肉」などが含まれます。
食品分野では「15℃〜25℃」が常温とされています。

常温の定義

常温の定義は「日本工業規格(JIS)」が基準を設けていますが、食品メーカーは「厚生労働省」の定めた温度を基に製品を製造しています。
また、メーカーは個別に常温を設定することもあります。

厚生労働省の規定によると、夏の室内は25℃〜30℃、冬の室内は15℃〜20℃が常温とされています。

ほとんどの食品の保存試験は摂氏24℃で行われており、この温度が賞味期限や消費期限を決める基準となっています。
そのため、食品は24℃を超える環境で保存すると、賞味期限や消費期限が短くなる可能性があります。

厚生労働省の定める30℃はやや高めかもしれませんが、保存試験の24℃と平均して27℃くらいまでが常温の目安と考えるのが妥当でしょう。
28℃以上は高温とみなされます。
基準はありませんが、安全を期すためには24℃以上、特に25℃以上を高温と考えることができます。

高温多湿の湿度はなぜ60%以上?

高温多湿の湿度が60%以上とされるのは、多くの食品メーカーが湿度を60%に保つように空調管理をしているためです。
食品によって適切な水分量が異なり、パッケージの仕様によっても影響を受けるため、60%はあくまで目安です。

また、厚生労働省は気温の取り決めはしていますが、湿度に関しては規定がありません。
しかし、湿度は温度と一緒に考える必要があります。
例えば、気温が24℃でも湿度が70%以上なら問題が生じる可能性があり、逆に30℃でも湿度が40%以下なら比較的安全です。

それぞれの常温保存の定義と温度範囲

JIS規格
日本産業規格(JIS規格)試験場所の標準状態日本産業規格(JIS規格)では、試験場所の標準状態として常温を5~35℃と設定しています。
さらに、湿度については45~85%を常湿、多湿は85%を超えない湿度と定義しています。

厚生労働省 大量調理施設衛生管理マニュアル
厚生労働省が作成した「大量調理施設衛生管理マニュアル」は、給食施設などで食中毒を防ぐための調理過程での管理基準を示しています。
このマニュアルには、「高温多湿を避けること。
25℃以下、湿度80%以下に保つことが望ましい」と記載されており、高温多湿でない状態は25℃以下、湿度80%以下であることが推奨されています。
調理場は湿度80%以下、温度は25℃以下に保つことが望ましい。
高温多湿の環境では微生物の増殖が促進されるため、衛生管理の観点から調理場の温度は25℃以下に保つことが推奨されています。
これは食品の保管温度ではなく、調理場の温度に関する指針ですが、参考になるでしょう。

第十八改正日本薬局方
「第十八改正日本薬局方」は、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を基に定めた医薬品の規格基準書です。
この基準書では、常温を15~25℃と定義しています。
標準温度: 20℃
常温: 15~25℃
室温: 1~30℃
微温: 30~40℃
冷所: 1~15℃

高温多湿を避けるための保存場所

高温多湿を避けるにはどこに保存するのが良いのでしょうか?
家庭によって環境が異なるため、一概には言えませんが、高温多湿を避ける方法はあります。

まず、風通しの良い場所を選びましょう。
空気がこもると気温と湿度が上がりやすくなります。
換気扇や扇風機を使って空気の流れを作ると良いでしょう。
さらに、除湿機や除湿剤を使うことで湿度を下げることも可能です。
100円ショップで購入できる手のひらサイズの除湿剤を棚や引き出しに入れておくと効果的です。

高温多湿を避ける保存方法と冷蔵庫の使用

高温多湿を避ける保存方法が記載されている場合、冷蔵庫での保存は適していないのでしょうか?
その答えは、冷蔵庫以外の保管方法が推奨されている場合は、冷蔵庫を避けたほうが良いです。
冷蔵庫での保存が不適切だったり、冷蔵に向かない食品である可能性があります。

ただし、開封後は状況が変わります。
開封後の食品は賞味期限や消費期限にかかわらず、できるだけ早く消費することが推奨されており、短期保存(1日程度)の場合は冷蔵保存が適しています。
開封前は高温多湿を避けて常温で、開封後は冷蔵保存して早めに消費するのが良いでしょう。

まとめ

「高温多湿を避けて常温で保存してください」という表現はよく目にしますが、具体的にどのくらいの温度や湿度を指しているかを知ると、より安心して保存ができます。
常温は15℃~25℃くらいを、高温は25℃以上、低温は15℃未満を指します。
そして、温度との関係がありますが湿度が60%以上になると「高湿」となります。
この知識を活かして、お料理の材料や日用品の品質を守るために最適な保存場所を見つけましょう。
特に日本の夏は気温も湿度も高いので、涼しい場所や冷蔵庫を上手に活用することが大切です。
大切な家族のために、ぜひ適切な保存環境を整えてみてくださいね。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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