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なぜ「夏至」は「げし」?夏至の意味と読み方の秘密

「夏至」の読み方について疑問を感じたことはありませんか?
普段気にすることのないような問題なのですが。

「なぜ、『夏至』は、『げし』と読むの?」と子どもに聞かれても答えられないかもしれません。
「夏」は普通に音読みすれば「か」です。
でも実際、私も長い間疑問を抱かずに『げし』と読んでいました。
同じように感じている方のために、調べた結果を共有します。

「夏至」の読み方について

「夏至」の正しい読み方は「げし」か「かし」、「なつし」か?

「夏至」の読み方は「げし」でです。
これは音読みです。

音読みとは、漢字が中国から伝わった時の発音を元にした読み方です。

「夏」という漢字は通常音読みでは「か」と読みます。
「至」の音読みは「し」です。
訓読みはそれぞれ「なつ」と「いた(る)」です。

でも、「夏至」では「夏」を「げ」と読みます。

「夏至」を「なつし」と読むことはありません。

どうして「夏至」を「げし」と読むのか?

「夏至」を「げし」と読むのは、呉音(ごおん)という読み方の一つに基づいています。

日本で使用される漢字の音読みには、呉音、漢音(かんおん)、唐音(宋音や唐宋音)および慣用音があります。
同じ漢字でも異なる読み方があるのです。
たとえば、「明」という漢字は、呉音では「ミョウ」、漢音では「メイ」、唐音では「ミン」と発音されます。
また、「重複」には「ジュウフク」(呉音)と「チョウフク」(漢音)の2つの読み方があり、どちらを使っても正しいとされています。

漢音は7世紀から8世紀にかけて、遣唐使や留学僧によってもたらされた読み方です。

一方、呉音は漢音が導入される前から仏教用語として早くから普及し、日本に定着していた発音です。
通説では中国南方から直接、または朝鮮半島(百済)を経由して伝わったとされますが、これを裏付ける証拠は存在しません。

「夏至」という言葉は、仏教用語としても使われており、仏教関連の言葉には呉音がよく用いられます。
「夏至」は、呉音読みの『げし』と読むのが一般的なのです。

唐音は、鎌倉時代以降に禅宗の留学僧や貿易商人によって伝えられた発音です。

「呉音」、「漢音」、「唐音、宋音」は、広辞苑では次のような説明になっています。

呉音:日本漢字音の一。古く中国の南方系の音の伝来したもの。「行」をギャウとする類。
仏教用語などとして後世まで用いられるが、平安時代には、後に伝わった漢音を正音としたのに対して和音(わおん)ともいった。

漢音:日本漢字音の一。唐代、長安(今の西安)地方で用いた標準的な発音を写したもの。
遣唐使・留学生・音博士などによって奈良時代・平安初期に輸入された。
「行」をカウ、「日」をジツとする類。
官府・学者は漢音を、仏教は呉音を用いることが多かった。

宋音:日本漢字音の一。従来、唐音として一括されていた音の一部分。
わが国の入宋僧または渡来した宋僧の伝えたという音。
実質上は唐末から元初のころまでの音で、鎌倉時代までに渡航した禅僧・商人から民間に流布した音と同一のものとされる。
「行」をアン、「杜」をヅと発音する類。

唐音:日本漢字音の一。宋・元・明・清の中国音を伝えたものの総称。
禅僧や商人などの往来に伴って主に中国江南地方の発音が伝えられた。
「行灯」をアンドン、「普請」をフシンという。

「広辞苑」より
夏至間近の空

「夏至」とは

皆さんは「夏至」についてどれくらい知っていますか?

「夏至」とは、太陽が一年で最も高く昇り、北半球においては一年で最も昼が長く、夜が短い日のことを指します。
地球の自転軸が傾いているため、北半球では長い昼間なのですが、南半球では短い昼間を迎えます。

「夏至」の意味

「夏至」という概念は、古代中国から伝わりました。
「夏至」は、「夏に日長きこと至(きわま)る」という意味を持ちます。

昔の暦は太陰暦を使用し、月の満ち欠けで月や季節を決めていました。
現在は1年を12ヶ月に分けますが、太陰暦では1年を24に分けていました。
これを「二十四節気」といい、二十四節気は中国発祥の暦で、太陽の動きをもとに作られました。
夏至という名称も、二十四節気に由来しています。
旧暦の5月にあたる時期を「夏至」と呼びます。

夏至の日から約15日間は、二十四節気における「夏至」の時期です。
日本の暦における「夏」は、初夏、中夏、晩夏の3つの段階に分かれています。芒種と夏至の期間は「中夏」に当たり、最も暑い時期は約1カ月後に訪れます。

二十四節気の中でも特に重要なのが、夏至、冬至、春分、秋分の「二至二分」です。
これらの日は季節の節目として重要視されました

「夏至」の対義語として「冬至」があり、これは一年で最も夜が長く、昼が短い日で、毎年12月21日頃です。

春分と秋分の意味

夏至と冬至の「至」は「極まる」という意味を持っていますが、春分と秋分の「分」は、季節を半分に分けるという意味です。

具体的には、春の90日間を半分に分けるのが春分、秋も同様に90日間を半分に分けるのが秋分です。
さらに、陰陽思想において、昼と夜の長さが等しくなることも意味しており、「半ば」を「分ける」という意味が込められています。

夏至の日はいつ?日にちは固定されていない!

夏至というと、真夏の暑い日を思い浮かべがちですが、実際には夏至は二十四節気の一つで、旧暦では5月中に設定されています。
現代の暦では夏の始まり前、例年6月21日頃になりますが、年によって微妙に異なることがあります。

例えば、2024年の夏至は6月21日ですが、2019年は6月22日でした。
しかし、2020年から2055年まではすべて6月21日となり、2056年は20日です。
これは、地球の公転周期が一定ではなく、わずかな端数が積み重なるためです。

次に、日照時間と気温の関係について説明します。
6月末は日本では梅雨の真っ只中です。
夏至の日が日照時間が最も長いにもかかわらず、気温がそれほど高くないのは梅雨の影響です。
たとえ夏至の日に雨が降らなくても、連日の雨で地表の温度が下がっているため、最高気温にはなりにくいのです。

夏至を過ぎると日照時間は減少していきます。

「夏至」は日の入りが最も遅い日だと思いますか?

多くの人が「夏至」は日の出が最も早く、日の入りが最も遅い日だと考えがちです。
また、「冬至」は日の出が最も遅く、日の入りが最も早い日だと思われています。

でも、これは正確ではありません。

日本では、日の出が最も早いのは夏至の約1週間前で、日の入りが最も遅いのは夏至の約1週間後です。
冬至についても同様に、日の出が最も遅いのは冬至の後、日の入りが最も早いのは冬至の前になります。

この現象は日本全体でほぼ共通しています。

暦では、夏っていつ?

暦上の「夏」はいつのことを指すのでしょうか?
二十四節気では、「立夏」(5月6日頃)から「夏至」を経て、「立秋」(8月7日頃)の前日までが暦の上での「夏」とされています。

手紙を書く際には、二十四節気を意識して季節の挨拶を使うことが重要です。

まとめ

この記事では「夏至」の読み方について説明しました。
「夏至」の正しい読み方は「げし」であり、「なつし」と読むことはありません。
この言葉は中国の古代思想に由来します。

夏至は、太陽が最も高く昇り、昼間が一年で最も長くなる日を指します。
夏至は、一年で最も日照時間が長い日です。
日付は毎年微妙に変わり、6月21日頃が多いです。

正しい読み方を覚えておきましょう。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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