生活・暮らし

晩夏とは?どんな意味でいつからいつまで?正しい使い方と季節の言葉を活用する方法

夏の終わりに近づくと、「晩夏」という言葉をよく耳にするようになります。
この季節の言葉には、どのような意味合いが含まれているのでしょうか。
また、具体的にはいつからいつまでの期間を指すのでしょうか。

この記事では、「晩夏」の意味や使う時期、正しい使い方について詳しく解説していきます。
さらに、季節の言葉を活用する方法も紹介します。
「晩夏」を理解することで、日本の四季の移り変わりをより深く感じ取ることができるでしょう。

晩夏とは?

晩夏の読み方

「晩夏」の読み方は「ばんか」と読みます。

晩夏の意味

晩夏とは、「夏の終わり」の時期を指す言葉です。
具体的には、一般的に8月後半から9月上旬を指します。
この時期の昼間は暑さがまだ厳しく、気温が30℃を超えることも珍しくありませんが、秋の気配が徐々に感じられるようになります。
例えば、残暑見舞いや手紙の冒頭に「晩夏の候」として使われることが一般的です。

夏の4つの時期

夏は以下の4つの時期に分けられます。

初夏:立夏(5月5日頃)から6月上旬の梅雨入りまで
梅雨:6月中旬から7月中旬頃
盛夏:梅雨明けからお盆を過ぎる頃まで
晩夏:夏の終わり頃

初夏は穏やかな晴天が多く、梅雨に入ると雨と暑さが交錯します。
梅雨が明けると夏真っ盛りの盛夏が訪れ、青空に入道雲が映える真夏の時期となります。
これは夏の中でも最も暑い時期です。
盛夏を過ぎると、季節は夏の終わりを告げる晩夏へと移り変わります。

晩夏の風景

晩夏には、赤や黄色の柔らかな花びらを持つ植物や、秋の七草に数えられるオミナエシが目立ち始めます。
蝉の声に交じって、秋の気配を知らせるツクツクボウシの鳴き声が聞こえ始め、季節の変わり目を感じさせます。

晩夏の期間

旧暦と新暦では晩夏の期間が異なる場合がありますが、一般的には8月の中旬から9月上旬までを指します。
この期間は夏の名残を感じつつも、少しずつ秋の気配が近づいてくる時期です。

漢字の由来

「晩夏」の「晩」という漢字には、「夜」を意味するだけでなく、「終わり頃」を意味する使い方もあります。
「晩」の漢字は「日」と「免」で構成されており、「免」はもともと象形文字で、赤ん坊を産む様子を描いたものです。
このため、「晩」という字には「重大な任務を果たす」「やっとのことでつとめる」や「日の光が届かなくなる」という意味が含まれています。
これが転じて、「晩」は「夕暮れ」や「遅い」、「終わり頃」を示すようになりました。
例えば、「晩」は「晩年」であったり「大器晩成」という言葉にも使われています。

晩夏の季語としての使い方

晩夏は季語としても使用され、俳句や詩において夏の終わりの情景を表現するのに適しています。
この時期には厳しい暑さが和らぎ、秋の訪れを感じさせる風情があります。

晩夏を季語として使う際の期間は、歳時記に基づいて、小暑(7月7日頃)から立秋(8月7日頃)の前日までを目安にします。
二十四節気の小暑と立秋の日付は毎年異なりますが、季語としては目安として使われます。
この時期は、蝉がなき、まだまだ暑い夏の盛りの時期ですが、晩夏なのです。

晩夏の候の使い方

時候の挨拶におけるズレ

時候の挨拶で使用される季語は旧暦に基づいているため、現代の季節感とは異なることがよくあります。
旧暦の晩夏は「小暑(7月7日頃)から立秋(8月6日頃)の前日まで」とされていますが、実際の気候は一年で最も暑く、真夏の暑さを感じることが多いです。
旧暦と新暦の間には1ヶ月から1ヶ月半ほどのズレがあるため、この点を理解した上で「晩夏の候」を使用することが大切です。

「晩夏の候」を使う時期

挨拶文では、「晩夏の候」というフレーズが新暦で言う8月中旬から下旬に相当する期間に適しています。

暑中見舞いと残暑見舞いの時期

暑中見舞いを出す時期は「小暑(7月7日頃)から立秋(8月6日頃)の前日まで」です。
立秋を過ぎると、残暑見舞いを出すことになります。
残暑見舞いを出す時期は「立秋(8月6日頃)から8月31日頃まで」です。
「晩夏の候」を使うのは、残暑見舞いと同じ期間が適しています。

挨拶文での具体的な使い方

残暑見舞いとして「晩夏の候」を使う場合、
「残暑お見舞い申し上げます。晩夏の候、いかがお過ごしでしょうか?」
という使い方が一般的にできます。

「候」は季節や時期を表す言葉で、「~というふうに季節も移り変わってきましたが」というニュアンスを持ちます。

フォーマルな使い方の例

晩夏の候、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。
晩夏の候、貴社いよいよご清栄のこととお慶び申し上げます。
晩夏の候、○○様におかれましてはいっそうご活躍のこととお慶び申し上げます。

文末での使用例

文末に以下のように記載することもあります。

「令和◯◯年 晩夏」
「20◯◯年 晩夏」

ユーミンの晩夏

ユーミンの「晩夏(ひとりの季節)」という曲があります。
この曲は、ユーミンがまだ「荒井由実」名義で活動していた時代のアルバム『14番目の月』に収録されています。
このアルバムの最後を飾る曲であり、さらに『14番目の月』はユーミンの結婚前最後のアルバムでもあります。
したがって、この曲は事実上、荒井由実としてのラストナンバーといえるでしょう。

季節がかわる「晩夏」の情景をとてもよくとらえて表現していると思います。

「ゆく夏に 名残る暑さ」「夕暮れを吸って燃え立つ葉鶏頭」
「空色は水色に」「茜は紅(くれない)に」
「藍色は群青に」「薄暮は紫に」

この曲は、本当に素晴らしい曲で、繊細な色彩の感覚と、それを音楽で表現する優れた技術が際立っています。
美術大学で培った鋭い色彩感覚が反映されいるのかもしれません。

夕暮れの移り変わる色彩を描いた歌詞が魅力的で、日本語の美しさを感じさせる一曲です。
この時期のユーミンならではの作品で、鮮やかな情景が目の前に広がるようです。
ユーミンは音楽を通じて視覚的な表現を得意とし、聞き手の想像力を刺激することで感動を呼び起こします。

♪夕暮れを吸って燃え立つ~葉鶏頭(ハゲイトウ)

まとめ

晩夏は、夏の終わりの時期を指します。
一般的には8月下旬から9月上旬頃を意味します。
晩夏を季語として使う際は、歳時記に基づき、小暑(7月7日頃)から立秋(8月7日頃)の前日までを目安にします。
「晩夏の候」を手紙や挨拶文に使う場合は、立秋(8月6日頃)から8月31日頃までの残暑見舞いの時期に合わせるとよいでしょう。

夏の暑さに疲れていても、「晩夏」という言葉には、夏の終わりと秋の訪れを感じさせる日本の美しい情景が広がります。

また、漢字の由来からその意味を深く理解することで、手紙や詩などに季節感を取り入れる表現が可能になります。

最後までご覧いただきありがとうございました。

-生活・暮らし