雑学

伊勢神宮・出雲大社と“もうひとつの神社”はどこ?セットで巡りたい!“もうひとつ”にふさわしい神社とは

「伊勢神宮と出雲大社は知ってる。でも“もうひとつ”って、どこ?」
神社巡りが好きな方や、日本の神話に興味のある方なら、一度はこの疑問にぶつかったことがあるのではないでしょうか。

実はこの「もうひとつ」に明確な正解はなく、住吉大社、鹿島神宮、宗像大社、香取神宮、熱田神宮…など、さまざまな神社が候補として挙げられているんです。

本記事では、それぞれの神社の歴史・ご祭神・神話との関係・ご利益まで詳しくご紹介しながら、
なぜ「三大神社」という表現が生まれたのか、地域ごとの違いや、巡礼ルートとしての魅力までまるごと解説しています。

「結局どこが“もうひとつ”なの?」という問いの答えを探しに、この記事で一緒に旅してみませんか?

伊勢神宮・出雲大社が特別視される理由

伊勢神宮と出雲大社は、日本の神社の中でもとくに格式が高く、多くの人から「別格」として扱われています。
伊勢神宮は、天照大御神(あまてらすおおみかみ)を祀る皇室の祖先神であり、国家の中心とされる特別な神社。
一方、出雲大社は、縁結びで有名な大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)を祀り、日本神話の中でも重要な役割を果たしてきた存在です。

どちらも「神話の時代から現代にまでつながる信仰の中心地」として、宗教的にも文化的にも厚い信頼を集めています。
そのため、「伊勢と出雲に参れば日本を網羅した」とまで言われるほど。日本の神社の中でも特別な立ち位置を持っているのです。

「もうひとつの神社」とは何を意味する?

「伊勢神宮・出雲大社と並ぶもうひとつの神社」と聞くと、「え?公式に三大神社ってあるの?」と疑問に思う方も多いと思います。
実は、この“もうひとつ”には明確な答えが存在しないんです。あくまで文脈や地域性、思想、時代背景によって、さまざまな神社が「三つ目」として語られることがあります。

たとえば、「伊勢=皇室・太陽の神」「出雲=縁結び・国づくりの神」という大きな枠に対し、「もうひとつ」は海や戦、国家守護などのテーマで語られることが多く、象徴する役割の違いが選ばれるポイントとなっています。

この「三つ目の神社」論争は、ある意味とても日本らしい、柔軟な信仰スタイルの表れでもあるんです。

候補①:住吉大社(大阪)の歴史と役割

「もうひとつ」の最有力候補として名前が挙がるのが、住吉大社(大阪)です。
住吉三神を祀るこの神社は、古くから海上安全・航海の神
として知られ、全国にある住吉神社の総本社でもあります。

創建は3世紀ごろとも言われ、日本最古級の由緒を持つ神社のひとつ。遣唐使船の航海安全を祈願した歴史があり、海洋国家だった古代日本にとって、まさに命綱のような存在でした。

また、独自の建築様式「住吉造(すみよしづくり)」は、国宝に指定されているほどの歴史的価値があります。
伊勢=太陽、出雲=大地、に対して、住吉=海というバランスから、三大神社の“もうひとつ”として語られるのも納得です。

候補②:鹿島神宮(茨城)の神話的背景

茨城県にある鹿島神宮(かしまじんぐう)も、「もうひとつの神社」として非常に有力な存在です。
ご祭神は武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)
。古事記や日本書紀では、天照大御神の命で出雲の国譲り交渉に派遣された神様として登場します。

つまり、出雲大社で祀られている大国主大神と深く関係しており、「国づくり」「国譲り」という日本神話の核心部分を担っているわけです。

さらに、鹿島神宮は武道の神様・軍神としても崇敬され、古くは武将たちの必勝祈願の地でした。
伊勢が皇室、出雲が縁結び、そして鹿島が武力や国守りという役割を担っていたことから、三大神社として挙げられるのも納得です。

候補③:宗像大社(福岡)と海の信仰

福岡県にある**宗像大社(むなかたたいしゃ)**は、全国にある約6,000社の宗像神社の総本社で、海の守り神・交通安全の神様として知られています。

ご祭神は宗像三女神(多紀理毘売命・市寸島比売命・多岐都比売命)で、いずれも天照大御神の子とされる女神たちです。
その信仰は古代から深く、特に大陸との交易が盛んだった時代には、航海安全の要として国家的な保護を受けていました

2017年には、宗像大社を含む「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」がユネスコの世界遺産に登録されたことで、国内外からの注目も高まりました。

海に囲まれた日本にとって、宗像大社はまさに“命をつなぐ神社”。出雲や伊勢と並ぶ存在として語られるのも納得の格式と歴史を持っています。

候補④:香取神宮と武神信仰の広がり

千葉県香取市にある香取神宮(かとりじんぐう)も、鹿島神宮と並び称される“武神の社”です。ご祭神は経津主大神(ふつぬしのおおかみ)。こちらも国譲り神話に登場し、武甕槌大神とともに交渉に向かった神様です。

香取神宮は、鹿島神宮とセットで「東国の守り神」として古代から非常に重視されてきました。
特に奈良・平安時代には朝廷の命によって、両社に国家的な祭祀が行われた記録があり、国家鎮護の役割を果たす存在だったことがわかります。

また、武道関係者の信仰も厚く、剣道や弓道の奉納試合が行われることも。神聖な雰囲気の中に「気」がピリッと漂うような、そんな空気感を持つ神社です。

鹿島神宮と合わせて、「もうひとつ」として香取神宮を挙げる声も多く、2社セットで“もうひとつ”を構成するという説もあるほどです。

候補⑤:熱田神宮(名古屋)と草薙剣の伝承

名古屋市にある**熱田神宮(あつたじんぐう)**は、伊勢神宮・出雲大社と並ぶ格を持つとされる神社のひとつで、三種の神器のひとつ「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」を祀っていることで知られています。

ご祭神は、天照大御神の御霊を宿す熱田大神(あつたのおおかみ)。草薙剣は日本武尊(やまとたけるのみこと)ゆかりの宝剣で、神話的にも非常に重要な意味を持っています。

熱田神宮の存在は、伊勢が「太陽」、出雲が「国造り」、住吉・鹿島が「海や武」、に対して、「皇位継承と神器」という視点での神格を担う存在。神道における象徴的な“核”とも言える神社です。

そのため、歴史や政治的側面を重視する文脈では、「伊勢・出雲・熱田」がセットとして語られることも多いのです。

なぜ「三大神社」と言われることがあるのか?

「伊勢神宮・出雲大社と、もうひとつで“日本三大神社”?」という言い回し、たまに聞きますよね。でも、実はこれは公式な呼称ではありません

日本では神社の序列を明確に定める制度が廃止されたこともあり、「三大神社」とされる組み合わせは、**時代・目的・思想によって変化する、いわば“概念上の三社”**なんです。

たとえば、

  • 海と国家の守りをテーマにすれば「伊勢・出雲・住吉」
  • 武道と国土守護なら「伊勢・出雲・鹿島 or 香取」
  • 皇位と神宝の視点では「伊勢・出雲・熱田」

というように、何を重視するかによって“もうひとつ”が変わるというのがこの話の面白さです。

一方で、「三大稲荷」「三大天満宮」などと違って、統一された認識がないのが「三大神社」の特徴でもあります。

地域によって異なる「もうひとつ」の解釈

日本は地域ごとに異なる信仰文化が育まれてきたため、「伊勢・出雲と並ぶ神社」も土地によってさまざまに変わります。

たとえば、東北では**塩竈神社(宮城)を挙げる声もありますし、中国・四国地方では厳島神社(広島)石上神宮(奈良)**が候補に上がることもあります。

また、地元に強く根付いた大社や古社が「うちの地元ではこの神社が“もうひとつ”」という形で語られるケースも多く、これはまさに地域アイデンティティと信仰の融合と言えるでしょう。

全国を旅して神社をめぐっていると、「ここも“もうひとつ”として語られるんだ…!」と驚くこともよくあります。

つまり、“もうひとつ”という問いには、ひとつの正解があるわけではなく、それぞれの人や土地の信仰の形が答えになるのです。

各神社のご利益と参拝の特色

それぞれの神社には、神様の性格や神話に基づいたご利益の違いと、訪れて感じる参拝の雰囲気があります。

  • 伊勢神宮(内宮):国家安泰・皇室の守護。静謐で荘厳な空気、全体が神域という厳かな佇まい。参拝は外宮→内宮の順で。
  • 出雲大社:縁結び・良縁・国造り。巨大な注連縄と大らかな境内が印象的。旧暦10月の「神在月」は全国から神々が集まる特別な時期。
  • 住吉大社:海上安全・商売繁盛。朱色の太鼓橋が象徴的で、初詣には大賑わい。住吉造の本殿は必見。
  • 鹿島神宮・香取神宮:勝運・武道上達。武神信仰が根強く、武道関係者の参拝が多い。境内の空気がピリッと張り詰めている。
  • 宗像大社:交通安全・航海守護。沖ノ島への信仰の拠点として、女性の神様が祀られ、静かで清廉な印象。
  • 熱田神宮:厄除け・開運・家内安全。名古屋駅からのアクセスも良好で、草薙剣にまつわるロマンも満載。

訪れる神社によって、お願いごとの内容や気持ちの整い方が変わるのも、日本の神社巡りの魅力です。

旅行ルートとしての三大神社巡り

「伊勢・出雲・もうひとつ」の三大神社を巡る旅は、スピリチュアルだけでなく旅としても魅力的。それぞれが異なる地方にあるため、自然と日本各地をめぐる旅になります。

例えば、

  • 伊勢 → 熱田 → 出雲:名古屋経由のルート。新幹線+在来線で効率的。
  • 関西拠点型(住吉・伊勢・出雲):大阪からスタートし、電車やバスで各地へ。グルメや温泉も楽しめます。
  • 東日本ルート(香取・鹿島 → 伊勢・出雲):千葉・茨城からのアクセスも可能。神話×歴史好きな人にぴったり。

それぞれ距離はありますが、だからこそ旅としての達成感も抜群。御朱印帳片手に巡れば、心も運気も満タンになりそうですね。

歴史と神話から見た三大神社のつながり

伊勢・出雲・そして“もうひとつ”とされる神社には、実は神話レベルでのつながりがあります。

  • 天照大御神(伊勢)と大国主大神(出雲)は、国譲りの神話で間接的に関係しています。
  • 鹿島・香取の武神たちは、その国譲り交渉において実行部隊として登場します。
  • 熱田神宮の草薙剣は、日本武尊の物語に登場し、天皇家や伊勢神宮と深い関係があります。
  • 宗像大社は、天照の子神である三女神を祀るため、伊勢との“家族的なつながり”も。

こうした背景を知ると、「三大神社」として並べることがただの格式比較ではなく、神話の連続性として自然な流れであると気づけます。神社巡りが、より深く楽しくなる視点ですね。

結局「もうひとつ」はどこなのか?私的見解

では結局のところ、「伊勢・出雲と並ぶ“もうひとつ”」はどこなのか?
答えは…**自分にとって大切な神社が“もうひとつ”**なのかもしれません。

神話や歴史、役割やご利益から見れば、それぞれに納得できる理由があります。
宗像大社の海の守りも、熱田神宮の神器の物語も、住吉の海神信仰も、どれも“日本の魂”と呼べる存在です。

だからこそ、誰かが「ここが自分の三大神社」と感じた瞬間に、それがその人にとっての正解になる。
それが日本の信仰文化の柔らかさであり、懐の深さではないでしょうか。

この記事が、あなたにとっての“もうひとつ”を見つけるヒントになりますように。

【まとめ】

「伊勢神宮・出雲大社 もうひとつ」の真相とは?

  • 「もうひとつの神社」に明確な定義はなく、住吉・鹿島・宗像・香取・熱田など複数の有力候補が存在。
  • 伊勢=太陽、出雲=国づくり、に対して「もうひとつ」は海や武神、神宝といったテーマで語られることが多い。
  • 神社のご利益や神話上の役割に注目すると、それぞれの魅力と納得の理由が見えてくる。
  • 地域や思想によって“もうひとつ”の捉え方は異なり、正解は人それぞれ。
  • あなた自身の信仰・関心・ご縁に合わせて、自分だけの「三大神社」を見つけるのがいちばん楽しい!

最後までご覧いただきありがとうございました。

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